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Outliers ― できる人はどこが違うか?【書評】

Tippping Point、BlinkにつづくMalcolm Gladwellの最新作を読んでみた。

この本のテーマ「Outliers The Story of Success」は、日本語に訳せば「できる人はどこがちがうか?」くらいだろう。ある分野で成功・失敗した人にどういう特徴があるのか、その謎を解き明かそうというのが本書の一貫したテーマになっている。

Tipping Point, Blinkも読んだけど、Malcolm Gradwellのアプローチは、科学的論拠に基づいているというよりは、いろいろな事例を探してきて、そこからストーリーを語るという作りになっている。
後付けといえば、後付けだけど、構成がしっかりしていることと、事例が面白いので、読んでいて違和感はない。英語もやさしいので読みやすい。


テーマである成功のルールとして、いくつか事例がをあげているけど、一番本書の特徴をあらわしているのが、1万時間ルール。

著書は、こんな例を挙げる。

1)カナダのホッケーのプロ選手のほとんどが1月~3月生まれなのかなぜか?

2)ビルゲイツが生まれのが1955年、ビルジョイは1954年、エリックシュミットは1955年、スティーブ・ジョブスは1955年、USのコンピュータ業界で活躍している人はなぜ1955年前後が多いか?

3)アメリカの偉大な起業家 John.D.Rockefeller (1839), Andrew Carnegie(1835), Frederick Weyerhauser(1834)は生まれた年齢が近いのはなぜ?

まず、ホッケーの場合。OutLiers p23より。


40 percent of the players will have been born between January and March, 30 percent between April and June, 20 percent between July and Septermber, and 10 percen between October and December.
(中略)
It is simply that in Canada the eligibility cutoff for age-class hockey is January 1. A boy who turns ten on January 2 then, could be playing alongside someone who doesn't turn ten until the end of the year - and at that age, in preadolescence, a twelve month gap in age represents an enourmous difference in physical maturity.



これは日本でいうところの、3月31日生まれと4月1日生まれでは学年が違うというのと同じだ。カナダのホッケーの場合1月1日で締め切る。ポイントは、ある年に入団するとして、1月1日生まれと1月2日生まれでは、12か月ギャップがあること。extra 12月で差がつくので、結果的に、1月生まれが多いと。

つぎはビルゲイツとビルジョイの話。ビルジョイ(Java、BSDなどを開発)、1970年の初めコンピュータを使ってプログラミングを始めた。ただ、当時コンピュータは今と違って極めて貴重だった。
Outliers p43より


Computers were rare. If you found one, if was hard to get access to it; if you managed to get acess, renting time on it cost a fortune.



こうした貴重なコンピュータを変えるきっかけになったのがTime-Sharing。一つの計算機を時間ごとに分割して複数のユーザが使えるようになるという画期的なもの。そして、そのTime Sharingを実装した計算機がビルジョイが在籍しているミシガン大学に1967年に導入された。Outliers p44より。


This is where Michigan came in, because Michigan was one of the first universities in the world to switch over to time-sharing. By 1967, a prototype of the system was up and running. By the early 1970s, Michigan had enough computing power that a hundred prople could be programming simultaneously in the Computer Center.



ビルジョイがミシガン大学に入学したのが1971年、世の中はあいかわらず計算機は貴重だったけど、ミシガン大学は"a hundred people could be programming"だった。そこに、ビルジョイが入学し、プログラミングに興味を持ち、その後、BSD・Javaへの開発につながったと。

これはビルジョイに限ったことではなく、ビルゲイツも同じような体験をしている(彼の場合、高校で毎日プログラミングにいそしんだという)。つまり、1950年半ばに生まれた世代が誰よりも先にコンピュータにアクセスすることによって、コンピュータ分野で競争優位を発揮し、結果的に、現在のコンピュータ分野をリードすることになったという。

ちなみに、自分が学部・大学院を過ごした湘南藤沢キャンパス(SFC),入学当時のキャッチフレーズは「未来からの留学生」でした。それは、日本で他に先駆けて一人一台のラップトップPC、インターネット接続環境などがあったから。30年後に考えてみたら、日本の”ミシガン大学”になるのかも。

このコンピュータ分野の話は、3)のアメリカの企業家にも当てはまる。Outliers p62ではこう指摘する。


In the 1860s and 1870s, the American economy went through perhaps the greatest transformation in its history/ This was when the railroads were being build and when Wall Street emerged. It was when industrial manufacturing started in earnest. <中略>
If you were born in the late 1840s you missed it. You were too young to take advantage of that moment. If you were born in the 1820s you were too old: your mind-set was shaped by the pre-Civil War paradigm. But there was a particular, narrow nine-year window that was just perfect for seeing the potential that the future held.




アメリカで商業資本主義が発達しはじめた1860-1870年代に活躍できるのは逆算すると1840年代、だから偉大な企業家は1840年代に生まれていると。

全部を紹介したわけではないけど、これで大体この本のコンセプトが理解できると思う。
まさに、後付けといえば後付けだけど、そう言われてみると「へぇー」なのだ。

出版社の方とこの話をしたとき、やっぱり層が厚いことは重要という話で盛り上がった。
たとえば、アメリカではこの手のビジネスとサイエンスの間にある話を結構いろいろな人が書いている。イギリスでも、どの本屋さんでもPopular Scienceがあって、Popular Science講座もいろいろなところで開催されていた。日本もサイエンスを身近に体験できる環境がもっともっとあればいいと思いました。



Outliers: The Story of SuccessOutliers: The Story of Success
(2008/11/18)
Malcolm Gladwell

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