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日本コンピュータの黎明―富士通・池田敏雄の生と死

田原総一郎といえば、政治系ジャーナリストのイメージがあるが、これは正真正銘の良質のノン・フィクション。

まさにタイトル通り、池田敏雄という天才を軸にして、日本初のコンピュータの誕生から、IBM互換機の
開発、さらにはアムダールとの提携まで、日本のコンピュータがどのように推移したのか、丁寧に掘り起こしてある良書。さらには、コンピュータの原始的な仕組みから始まっているので、学部レベルのコンピュータ・サイエンス系の読み物としてもお薦めできそうだ。Amazonでは取り扱っていないけど、こういう良書はぜひ取り扱ってほしいものだ。

コンピュータの話はともかくとして、企業の成熟について考えさせられた。たとえば、富士通がコンピュータ事業に参入するにあたってのコメント(p171)


「従来の通信事業だけに頼っていたら、富士通の将来はない。電電公社の序列では、日本電気、沖電気などの後塵を拝していて、その閉そく状況から抜け出すには、新しい事業を起こすしかないという強い思いが、幹部から若手社員までみんなにありましたからね」



当時は1960年代の高度経済成長期でに日本経済は急速に拡大していた。そして、新しい事業を起こして、会社を大きくしようという心意気が漲っていた。

ひるがえって、今日、はたして、日本の企業で、幹部から若手社員まで新しい事業を起こすしかないという強い思いをもっている企業は、どれだけあるだろう?

もちろん、ベンチャー企業をはじめとして、こういう強い思いをもっている企業はたくさんある。ただ、これが現在の社会の趨勢かといえば、何か違うように思える。すなわち、人間でいえば、1960年代がこれからまだまだ伸びる青年期にあるとすれば、現在は、ある程度成熟した壮年期にあるのかもしれない。

とくに、コンピュータの分野ではこの傾向は顕著だ。本書で扱っている1960~70年代は自社でハードを製造し、おまけとしてソフトを提供する、いわゆる、垂直統合方式だった。一方、90年代からのオープン化、モジュール化により、OSはWindows、CPUはIntel、DBはオラクルなど、水平分業にシフトしてしまった。さらには、こうした分野ではほとんど標準をUS企業に抑えられ、日本企業にとって分の悪い領域になってきている。

とはいうものの、日本企業はダメなのか?といえばそうではないと思う。たしかに、コンピュータの標準はUS企業に抑えられているものの、業務の標準は抑えられていない。たとえば、原発のシステムは極めてミッションクリティカル度が高いため、かなりの部分がIT化されていない。裏返せば、まだまだチャンスは一杯あると。

日本で初めてコンピュータを生み出した気概、これを追体験して、次のチャンスに取り組む、そんな前向きな気持ちにさせてくれる本でした。

最後に、ないものねだりかもしれないけど、この本前半はリレー式コンピュータの構造などかなり丁寧にコンピュータの技術要素を解きほぐしているけど、後半のアムダールのところになってくると、かなりはしょってるように思える、ここの深い考察があればさらに良かったと思いました。



日本コンピュータの黎明―富士通・池田敏雄の生と死 (文春文庫)日本コンピュータの黎明―富士通・池田敏雄の生と死 (文春文庫)
(1996/01)
田原 総一朗

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